日本学術振興会 科学研究費補助金 基盤研究(S)
実世界ハプティクスに基づく
人間支援理工学基盤技術の開発研究

大西 公平(慶應義塾大学・理工学部・教授)
適宜内容は更新していきます。


【研究の概要】
 標準化を図ることのできる産業技術はそれを用いる環境を予め指定できるため、基本的 にはモデルに基づく科学技術になる。それに対し、人間支援技術は履歴や身体性などが全 く異なる個人を対象としており、モデルに依存しない科学技術となる。少子高齢化社会に おける人間支援や、安心安全社会における個人支援を考えると、個人の身体性に柔軟に適 応する人間支援技術の構築が次世代社会における鍵技術になることは間違いない。これに 対し、従来の産業技術のように共通な物理モデルによる一元的価値評価に基づく科学技術 では、そのような人間支援への貢献が極めて限定的になる。そのため、人間の「知覚」や 「行為」に基づいて広く人間を支援するための革新的な科学技術を創出する必要がある。
 本研究課題では個人の身体性に着目した人間支援理工学を提唱している。このときに核 となる技術が実世界ハプティクスである。このギリシャ語由来の接触や触覚に関する新し い学問は、各個人の行動や個人対個人、個人対ロボット、ロボット対実世界など未来の日 常社会で広く想定される接触行動とそれによる人間支援を行う鍵である。本研究課題はこ の実世界ハプティクス技術に基づき、個人により異なる身体機能支援や日常生活支援を行 う応用技術、あるいは個人のスキル抽出やロボットへのスキル転写などを実現する人間支 援理工学基盤技術の構築を目的とする。

【当該研究から期待される成果】
 本研究で開発研究を行う実世界ハプティクスに基づいた人間支援基盤技術は、個人の身 体性や行為に基づく人間支援技術、人間の五感情報を統合する知覚情報複合化技術、およ び環境情報や身体行為を記録しマッピングする身体性データベース技術を新たに構築する だけでなく、それらを統合・体系化することで人間支援理工学という新しい学問を創成す ることを可能とする。これにより、人間本来の感覚や動作を自由自在に延伸し、拡張・凝 縮し、あるいは増幅する知覚ベース、アクションベースによる広範囲での人間支援を初め て実現する。つまり、人間支援理工学は技術のパーソナル化を実現する。


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